Archive for the ‘コラム’ Category

【令和5年 雇用保険料率】

2023-03-22

社労士の小泉です。
今回は、令和5年4月からの雇用保険料率変更について記載致します。

雇用保険制度は、失業等や育児休業の場合に必要な支援を行い、労働者の生活を安定させることを主な目的としています。
雇用保険料は、従業員と企業の双方が負担するものとなります。
原則として1年に1度、企業は雇用保険料をまとめて国に申告・納付しなくてはいけません。
従業員負担分の保険料は、毎月の賃金総額に「雇用保険料率」を掛けて算出され、給与から控除されます。

今回改定された保険料率は、2023年4月1日から2024年3月31日まで適用されます。

【2023年度の雇用保険料率】
雇用保険の料率は「一般の事業」と「農林水産・清酒製造の事業」「建築の事業」の3つに分類されており、
それぞれに分類された事業の保険料率は異なります。
一般の事業とは、農林水産・清酒製造の事業と建築の事業に当てはまらない事業すべてが該当します。
2023年度の改定は下記の通りです。
(一般の事業)
会社負担率 9.1/1,000 従業員負担率 6/1,000
(農林水産・清酒製造)
会社負担率 10.5/1,000 従業員負担率 7/1,000
(建設業)
会社負担率 11.5/1,000 従業員負担率 7/1,000

毎月の給与計算において、締め日・支給日の違いで控除月が変わりますので、注意が必要です。
また、毎年の労働保険料年度更新申告の際にも新たな料率により概算申告が必要となります。

【労働時間について】

2023-03-14

社労士の小泉です。
今回は、労働時間に該当するのかを記載致します。

(早出)
 始業時刻前に出社している場合、その時間の労働時間性判断は、「掃除や準備行為をおこなっている事実があるか」
「会社が早出を禁止している(あるいは許可制としている)具体的事実があるか」「早出をしなければならないほどの業務量だったか」
「早出をしないことにより人事評価でマイナスになるなどの不利益があるか」などを元に判断されます。
〈会社としての対応〉
朝礼や掃除などは労働時間と判断される可能性が高いため、始業後に行うか、残業代を支払う方が良いでしょう。
自発的な早出についても許可制とし、メールなど記録が残る方法で許可制度や証拠として残しておくことで運用する方が、トラブル回避となる可能性があります。

(仕事を持ち帰り残業する)
職場で終わらなかった仕事を家に持ち帰って作業した場合の労働時間性ですが、原則として労働時間と認定されにくい傾向にあります。
これは、私生活空間での仕事は職場と比べて拘束度合いが低いためです。
ただし、持ち帰り残業を会社が容認し、常態化している場合や、期限までに仕事が完了しないと人事評価で不利益を被るなどの場合は労働時間と見なされる恐れがあります。
〈会社としての対応〉
持ち帰り残業は原則として禁止し、ワークシェアリングなどで業務が特定の労働者に偏らないようにしましょう。

(仕事をさっぼっているような時間)
労働時間の中に度重なるタバコ休憩や私用のスマホ操作などの「サボっている時間」がある場合ですが、原則としてタイムカード記録による始業・終業の時間内は労働時間となる可能性が高く、
労働時間性を否定するためには会社側が「対象労働者が指揮命令下にないという余程の証拠」を示さなければなりません。
例えサボっているように見えていても、会社からの業務指示に直ちに反応する必要性がある状況にある限り、指揮命令下にある、つまり労働時間であると判断されてしまいます。
逆にいうと、外部の情報をシャットアウトして連絡を取れなくしている状況下では労働時間制を否定した例があります。
〈会社としての対応〉
労働時間性を争うよりも、都度注意する、具体的な業務指示をするなどの方法でサボりを防止しましょう。
また、タバコ休憩等は時間を決め、その時間は労働時間としない旨の雇用契約書を締結するのも有効となる事があります。

(テレワーク)
テレワークについては①始業・終業時刻を指定して、出社した場合同様に労働時間管理をするか、②事業場外みなし労働時間制により労働時間を規定するかのどちらかですが、
①はテレワークのメリットである労働時間の自由裁量を損なうため②を選ぶ場合が多いでしょう。
事業場外みなし労働時間制による場合、「業務量がみなし労働時間に見合ったものか」「具体的な業務指示に即座に反応しなければならない状況であるか」などが判断基準になります。
〈会社としての対応〉
上司から逐一指示を受けなくても一人で業務を進めることができる人だけをテレワーク対象としましょう。
また、みなし労働時間に見合った業務量であるかを適宜確認しましょう。

【変形労働時間制について】

2023-03-09

社労士の小泉です。
今回は変形労働時間制の注意点を記載致します。

(成立要件)
1ヶ月単位の変形労働時間制の場合、シフト表や会社カレンダーなどで、対象期間、起算日を明らかにした上で対象期間すべての労働日ごとの労働時間をあらかじめ具体的に定める必要があります。
その際、対象期間を平均して、1週間あたりの労働時間が40時間(特例措置対象事業場は44時間)を超えないよう設定しなければなりません。
この要件を具体的に紐解くと、以下の要素がすべて特定されていることが必要になります。

①対象期間と起算日
②日ごと、部署や個人ごとの始業時刻・終業時刻・休憩時間
③部署や個人ごとの休日

(気を付けるべき点)
1ヶ月単位変形労働時間制を運用する際に起こりがちな誤解として、以下のようなものが挙げられます。
【誤解1:シフトは1ヶ月分決めず、前後半などに分けて決めても良い】
対象期間を1ヶ月とした場合、開始時期までに対象期間の全てにおいて労働日、始業終業の時刻を決めなければなりません。
例えば「2週間ずつシフトを決める」などの運用は正しい運用ではありません。

【誤解2:月間総労働時間さえ変えなければ、シフト変更が自由にできる】
1ヶ月単位の変形労働時間制において、原則として一度決めた労働日、労働時間を変更することはできません。
ただし、業務上の都合でやむを得ず始業・終業ともに繰上げ(繰下げ)をする(労働時間が変わらない)などの変更は認められます。

【誤解3:残業した分を、別日の早退などと相殺して調整ができる】
別日に早退したからといって残業をした事実がなくなるわけではありません。
また、誤解2と同様、会社や労働者が任意に労働時間を変更することはできません。

変形労働時間制の活用には様々な注意が必要です。

【出産関係】

2023-03-02

社会保険労務士の小泉です。

今回は出産関係給付金について記載致します。

(出産育児一時金)
出産育児一時金は、健康保険制度からの出産費用補助を目的とした給付で、現在は被保険者及びその被扶養者が出産した時に1児につき42万円が支給されます。
なお、多胎児を出産された場合には、出産された胎児数分だけ支給されますので、双生児の場合は、2人分が支給されることになります。
給付において「出産」とは、妊娠85日(4ヶ月)以後の生産(早産)、死産(流産)、人工妊娠中絶を含みます。
正常な出産、経済上の理由による人工妊娠中絶は健康保険による診療(療養の給付)の対象からは除かれますが、出産育児一時金の対象にはなります。

出産育児一時金が2023年4月から50万円に増額される予定です。
なお、この出産育児一時金については直接支払制度(出産育児一時金を協会けんぽから医療機関等に対して直接支払う制度)を利用することが一般的となっておりますが、
一時金増額に合わせて医療機関の分娩費用が値上げとなる可能性もあるため、出産家庭の実質的なメリットがどのくらいになるかは不明です。

(出産手当金)
会社で社会保険に加入している場合に支給されます。
出産手当金は、出産前後の休業による収入減の補填として健康保険制度から被保険者に対して支給されるもので、
出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産の予定日)以前42日目(多胎妊娠の場合は98日目)から、出産の日の翌日以後56日目までの範囲内で会社を休んだ期間について支給されます。
出産手当金は被保険者が出産した場合のみの給付で、被扶養者の出産に対しては支給されません。出産手当金は、休む前の給与のおよそ3分の2が支給されます。

(育児休業給付金)
育児休業給付は、育児休業による収入減を補填するものとして雇用保険制度から被保険者に対して支給されるもので、
原則として出産後57日目から子が1歳になるまでの範囲内で会社を休んだ期間について支給されます。
男性(父親)もこの給付の対象となり、男性の場合は子の出生日以降産後8週までの期間について出生児育児休業給付金として受給することができる他、配偶者と同時に産後57日目以降も育児休業給付を受給することができます。
また、保育所等に入所できないなどの事情がある場合、育児休業給付は最大2歳まで延長されます。なお、育児休業給付の金額について、当初6ヶ月は休む前の給与のおよそ3分の2、その後は休業前給与のおよそ2分の1となります。

(社会保険料の免除)
出産手当金支給対象期間(産前42日から産後56日)及び育児休業給付支給対象期間(産後57日〜原則子が1歳まで。育児休業を延長した場合は延長期間含む)について、
申請により社会保険料が免除となります。
※こちらは、保険料を免除したからと言って、将来もらえる年金額が減るものではありません。

(養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置)
子が3歳までの間、子育てのため時短勤務などを行い、その影響で月額給与が下がり社会保険の標準報酬月額が低下した場合、
被保険者が任意に申し出ることで「子どもを養育する前の標準報酬月額」に基づく年金額を受け取ることができる措置です。

社労士は上記の代行業務が可能となります。
顧問契約をしていれば、毎月の顧問料の範囲で行う事も可能ですので、ご検討下さい。

【介護保険 処遇改善加算が一本化へ】

2023-02-20

社労士の小泉です。
今回は介護保険 処遇改善加算について記載致します。

現在の加算制度は処遇改善加算と特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算の3本立てとなっており、事業者から事務負担が重いとの声が多数寄せられていた為、
事務手続きや添付書類の簡素化とともに、制度の一本化の検討を進めるとしています。

処遇改善加算の請求状況をみると、令和4年4月時点で93.4%となっています。
未取得事業所も一定数あることから、個別相談を実施し、取得率向上を図り給与体系の構築を含めた支援を行っていくとのことです。

※環境改善に向けた「政策パッケージ」

① 総合的・横断的な支援、

② 事業者の意識改革、

③ テクノロジーの導入促進と業務効率化

この3つの取組みを進め、生産性向上を通じた待遇改善を図るとしています。

2040年度には介護職員が280万人必要と推計している中、令和元年度の介護職員数は約211万人で、このままの職員数を維持しても、約70万人不足するとしているので、
厚生労働省は、人員確保に向け、介護職員の働く環境改善の取組みが不可欠な状況としています。

【社会保険料率変更について】

2023-02-17

社会保険労務士の小泉です。

今回は令和5年度の社会保険料率について記載致します。
主な各都道府県については以下の通りです。

【東京】
健康保険(昨年)9.81%→令和5年 10.00%
介護保険(昨年)1.64%→令和5年 1.82%

【神奈川】
健康保険(昨年)9.85%→令和5年 10.02%
介護保険(昨年)9.85%→令和5年 1.82%

【大阪】
健康保険(昨年)10.22%→令和5年 10.29%
介護保険(昨年)1.64%→令和5年 1.82%

概ね保険料率は昨年に比べ増加しています。
毎月の給与計算について、従業員から適正に控除しないと、過小控除となり後に従業員から差額をの控除をする事も考えられますので、
注意が必要です。

【労災について】

2023-02-09

社労士の小泉です。

明日から雪が降り、都内でも積雪の恐れが見込まれます。
積雪や凍結により、業務中や通勤中にケガをする事もあります。

新聞配達業者や、郵便配達業者等バイクでの転倒事故もあります。
業務中・通勤途中であれば労災が認定される事もあります。

労災申請手続きは、療養給付や休業給付等様々な給付金や届出が必要となります。
会社で行うのに手間がかかる場合、社会保険労務士での代行が可能となります。

ぜひ、社労士との契約をご検討下さい!

【一般健康診断について】

2023-02-02

社会保険労務士の小泉でです。
今回は一般健康診断について記載致します。

一般健康診断では、次の項目を実施しなければなりません。

①既往歴及び業務歴の調査
②自覚症状及び他覚症状の有無の検査
③身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
④胸部エックス線検査及び喀痰検査(いわゆるレントゲン検査)
⑤血圧の測定
⑥貧血検査(血色素量、赤血球数)
➆肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
⑧血中脂質検査(LDL・HDLコレステロール、TG)
⑨血糖検査
⑩尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
⑪心電図検査
注1:④について、雇入れ時健康診断においては、胸部エックス線検査のみとなっている。

注2: ⑥〜⑨はいわゆる血液検査。

【代替措置など】
雇入時の一般健康診断については、「入社日前3ヶ月以内」に入社予定の者が受診した健康診断結果を提出させることで代替することができます。
ただし、雇入時健診は本来「会社に」実施義務があるため、何らか会社の費用負担を検討した方がよいでしょう。
また、定期健康診断は、市区町村など自治体で実施される健康診断等を本人が受診したもので代替することが可能です。
ただし、一般健康診断の費用は会社が負担すべきですので、この健診費用は健診手当てなどの名目で支給した方が良いでしょう。
協会けんぽまたは健康保険組合において健診費用の補助制度があります。各保険者に問い合わせて補助を活用しながら健康診断を実施していきましょう。

【自主的な練習は労働時間になるのか?】

2023-01-26

社会保険労務士の小泉です。
今回は、自主練が労働時間に入るのかを記載致します。
よく美容師さんの練習時間等が代表的かと思います。

【自主練と労働】
労働時間とは使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる(たとえば、参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用指示により業務に必要な学習等を行っていた時間は労働時間に該当する)とされています。
その自主練に直接的あるいは間接的な強制性があったかどうかが判断基準となります。
たとえ直接強制していなくても、自主練の参加が人事評価に直結していた場合などは労働時間として判断される可能性があります。
逆にいうと、自主練=労働時間とならないようにするには、強制的でなかったことを裏付ける記録(自主練のための施設利用申請書を都度提出させるなど)を検討する必要があります。

【会社の安全配慮義務】
会社は労働者に対して「安全配慮義務」を負っています。
労働契約法第5条で「使用者は労働契約に伴い、労働者がその生命、身体などの安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をするものとする」とある通り、
自主的なトレーニングだからといって職場での安全配慮義務から免れることができません。

【実際に対応】
労働者保護を重視する人からは「パワハラだ、ブラック企業だ」という非難が起き、
精神論者からは「本人がやりたいと言っていることをなぜ止めさせるのか」という反論が起こります。
企業側の現実的な対応は、「やり過ぎないようにコントロールする」に尽きるのではないでしょうか。
自主練を強制はせず、それでいて前向きな訓練は応援する、ただし過熱し過ぎないようにケアする、というバランス感覚を持った労務管理体制が求められるでしょう。

労務で不安がありましたら、社労士との契約もご検討下さい!!

【2023年 明けましておめでとう御座います】

2023-01-20

社労士の小泉です。

新年明けましておめでとう御座います。

今年は兎年です。

兎のように飛び回り物事が上手く進むよう精進いたします。

間違っても「二兎を追う者は一兎をも得ず」にならぬよう、これだと思う事に集中して良い1年にしたいと思います。

今年も週1回アップできるよう頑張ります!!

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