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【2024年4月からの労働条件明示の法改正について】

2023-10-11

社労士の小泉です今回は労働条件明示の際に改正点を記載させて頂きます。

【背景】
今回の法改正の前提にあるのは、主に有期労働契約の無期転換ルール(同一の使用者との間で、
有期労働契約が通算5年を超えるときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約[無期労働契約]に転換するルール)です。

【改正1 契約社への明示事項など】
①更新上限の明示
2024年4月から、有期労働契約の締結と契約更新のタイミングごとに、更新上限(有期労働契約の通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容の明示が必要になります。
実際には更新上限を定めていないことの方が多いと思われますが、新たに更新上限を新設したり、今までの更新上限を短縮したりする場合にはその理由をあらかじめ有期契約労働者に説明することが必要になります。
予想される問題としては更新の上限を新たに定め説明した場合に、その説明に労働者が納得しない可能性があります。
法律上はあくまで「説明義務」を謳っており、個別の労働者の同意までは求めていませんが、あまりに一方的な更新上限の設定は労働者の反発を招く可能性があります。
また、無期転換ルールの対象となる労働者であれば、更新上限の説明に納得しない労働者からの無期転換申込がなされることにもなるでしょう。

②無期転換申込機会の明示
「無期転換申込権」が発生する更新のタイミングごとに、無期転換を申し込むことができる旨(無期転換申込機会)の明示が必要になります。
つまり、「あなたは勤続が通算5年となるため、無期転換申し込みをできます」と伝えなければならないということです。

③無期転換後の労働条件の明示
上記②と合わせて、「無期転換申込権」が発生する更新のタイミングごとに、無期転換後の労働条件の明示が必要になります。
つまり、「無期転換を選んだ場合の労働条件はこれです」と伝える必要が出てくるということです。
この無期転換後の賃金等の労働条件を決定するに当たっては他の通常の労働者(正社員等のいわゆる正規型の労働者及び無期雇用フルタイム労働者)とのバランスを考慮した事項※について、
有期契約労働者に説明するよう努めなければならないこととなります。

【改正2 契約社への明示事項など】
全ての労働契約の締結と有期労働契約の更新タイミングごとに、「雇い入れ直後」の就業場所・業務の内容に加え、
これらの「変更の範囲:将来の配置転換などによって変わり得る就業場所・業務の範囲」についても明示が必要になります。

【過重労働について】

2023-07-25

(過重労働の定義とは)
「時間外・休日労働が月100時間を超えること、もしくは2〜6か月平均で月80時間を超えること」を過重労働であるとしています。
この時間は、特別条項付き36協定の締結で延長可能となる時間とほぼ一致します。
もちろん基準を超えなければ問題ないわけではありません。
長時間の労働は、様々な健康障害を引き起こす危険性を持つため、基準を超えない場合であっても労働時間の削減が必要です。

(基本的な労働時間の上限)
労働基準法では、1日8時間及び1週40時間の法定労働時間を定めています。
この時間を超える時間外労働を行うには、36協定の締結が必要です。
また、36協定の締結があっても、1か月45時間及び年間360時間の限度時間を超える時間外労働は原則としてできません。

(限度時間の延長をする場合(特別条項))
突発的なクレーム対応など、通常予見することのできない業務量の大幅な増加が見込まれる場合は、限度時間の延長が例外的に認められます。
限度時間を超える延長には、特別条項付き36協定の締結が必要です。

(過重労働と業務上災害)
過労死ラインの基準は、「発症前1か月間に概ね100時間」あるいは「発症前2~6か月間にわたって概ね80時間」を超える時間外労働です。
時間外・休日労働が月に45時間を超えると、業務と脳疾患や心臓疾患発症の関連性が強まるとされています。

(例:①企業が行うべき過重労働対策 業務の見直しによる効率化)
時間外・休日労働時間を削減すれば、自ずと過重労働の問題は解決されます。
しかし、労働時間の削減は、容易に進むものではありません。
業務量を減らさないまま、労働時間の削減を掲げても、隠れ残業や自宅への持ち帰りが増える事も懸念材料となります。

(例:②企業が行うべき過重労働対策 勤務間インターバルと年次有給休暇)
勤務終了から翌日の出社までに一定の時間を設ける勤務間インターバルを活用しましょう。
勤務間インターバル制度とは、労働者の終業時刻から、次の始業時刻の間に一定時間の休息を設ける制度であり、
労働者の生活時間や睡眠時間を確保し、健康な生活を送るために重要な制度です。

残業が多い会社は、労働時間の管理、業務内容、業務量について一度見直しが必要にかるかと考えます。

【今後のテレワークについて】

2023-06-26

新型コロナの感染症法上の位置付けの変更に伴い、令和5年5月8日から、基本的対処方針などが廃止され、
新型コロナに関するさまざまな規制・制限、特例措置などが終了となりました。

新型コロナの流行に伴い、テレワークを導入した企業も多いかと思いますが、新型コロナの感染法上の位置付け変更を理由として、
企業側が一方的にテレワークを廃止し、出社を求めてもよいでしょうか?

テレワークは、感染症対策だけでなく、その取扱いについては労働者と使用者の間でよく話し合って頂くことが望ましいと考えられます。
この点について、厚生労働省から、対応の考え方等を示したリーフレットが公表されました。

(テレワークについての基本的な考え方)
雇用契約や就業規則において、労働者が任意にテレワークを実施できる事が規定され、労働条件となっているのであれば、
その規定に従う必要があり、原則として使用者が一方的にテレワークを廃止し、出社させることは出来ません。

(労働者側のメリット)
・通勤時間の短縮及びこれに伴う心身の負担の軽減
・仕事に集中できる環境での業務の実施による業務効率合、時間外労働の削減
・育児や介護と仕事の両立等

(使用者側のメリット)
・業務効率化により生産性の向上
・育児や介護等を理由とした労働者の離職の防止
・遠隔地の優秀な人材の確保
・オフィスコストの削減 

コロナ禍が過ぎ去ったとしても、テレワークのメリットを今一度見直して、
テレワークを定着させ欲しいと言うのが政府の考えのようです。

テレワーク導入が成功した企業と実はうまく行かなかった企業とで今後の対応が分かれると思いますが、
後者の場合は、今一度見直しをしても尚メリットを感じないのであれば、労働者と使用者の間で丁寧に慎重に廃止について話し合い、
上手にコロナ前の勤務状態に戻すのが良いでしょう。

【従業員が突然辞めてしまった】

2023-06-15

社労士の小泉です。

従業員の突然の退職は現場の穴埋め、代わりの人員の手配など様々な面で問題となります。
突然の退職について会社ができる対応策について考えていきます。

労働者保護の法律では、一般的な認識として「退職の申し出は少なくとも1ヶ月前、できればさらに事前の申し出が望ましい」等という考え方がありますが、
法律上は以下のようにさらに短い期間で退職することが保護されています。

民法627条1項には「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。
この場合において、雇用は、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する」と規定されています。
近年の自己都合退職の場面ではしばしばこの条文が根拠とされます。

また、労働基準法15条2項によると、採用時に会社から明示された労働条件が事実と相違している場合、
労働者は即時に労働契約を解除することができるとされています。

【会社側の対抗策】
 通常、就業規則などで1ヶ月前、3ヶ月前等の退職申し出期限を定めることにより対抗することになります。
この場合前述の民法の規定とどちらを優先するかについては諸説ありますが、少なくとも「労働者を正当な理由なく拘束する就業規則であれば民法が優先される」
と解されることが多いようです。逆に言うと、会社としては「退職の申し出は◯ヶ月前に」と定めたことに正当な理由を説明できるか、がポイントとなります。

労基法第16条において、「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」と定められている通り、
「急な退職をした場合は違約金○万円」という取り決めをすることはできません。
しかし、「現実に生じた損害について退職者に損害賠償請求をする」ことは認められています。過去にも突然退職した従業員に対する損害賠償が認められた例もあります。

退職の際の「引き継ぎ資料のフォーマット」を会社が用意し、就業規則その他でフォーマットの存在を事前に周知しておくことで「突然の退職=従業員の引き継ぎ義務違反」の事実を明確にする、
と言う方法も考えられます。
ただし、この方法だと「定型資料だけ作ればすぐに退職できる」と言う誤解を与えかねない他、
その書類があまりに作成困難なものだと資料作成・提出を強いることが「不当な引き止め」とみなされる恐れがあるため注意が必要でしょう。

最近では弊所にて、何かあった時相談できる相手が欲しいという事で顧問契約をされるお客様も増えてきております。
就業規則等も昔のまま改訂せず、現在の法律に即していない会社様も多くあります。
一度見直しが必要となるかと考えます。

【算定基礎届】

2023-05-26

社労士の小泉です。
そろそろ社会保険算定基礎手続きの時期となります。
そこで今回は算定基礎手続きについて記載させて頂きます。

【算定基礎届とは】
定時決定(算定基礎)とは、従業員に支払う報酬等の変動を社会保険料に反映させるための手続きの1つです。
会社や従業員が負担する社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)は、従業員の給与などをもとにした「標準報酬月額」に保険料率を乗じて算出します。
標準報酬月額とは、事業者が社会保険料の計算をしやすくするため、従業員の給与を一定の範囲ごとに区切って表したものです。
従業員の報酬等は、昇給や降給などさまざまな要因によって変動するため、標準報酬月額も定期的に見直す必要があります。
そこで、従業員が4月から6月までに受け取った給与をもとに、毎年1回、標準報酬月額の見直しを行います。
これを「定時決定」といいます。
定時決定を行う際は、「算定基礎届」という書類を管轄の年金事務所や健康保険組合に提出するため、定時決定のことを実務では「算定」といいます。

【算定基礎届の保険料はいつから反映されるか】
定時決定により見直された標準報酬月額はその年の9月から反映されます。
定時決定とは、従業員の標準報酬月額の見直しを行うための手続きです。
事業者は、毎年7月1日時点で雇用しているすべての被保険者を対象として、4月から6月までに支払った給与をもとに、それぞれの標準報酬月額を算出します。
そして、7月上旬ごろに「算定基礎届」という書類を作成し、管轄の年金事務所等に提出することで標準報酬月額を決定します。
この一連の手続きが定時決定です。
標準報酬月額が決定すると、年金事務所等から「健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書」が、各事業所宛てに届くので、内容に間違いがないか確認しましょう。
この定時決定によって決定された標準報酬月額は、原則として、その年の9月から翌年8月までの1年間適用されます。
例えば、月末締め翌月末払いの事業所の場合であれば、10月末に支払う給与分から新しい標準報酬月額が適用されます。

【手続き方法】
定時決定は、「算定基礎届」という書類を管轄の年金事務所に提出することにより行います。
算定基礎届の正式名称は「被保険者報酬⽉額算定基礎届(70 歳以上被⽤者算定基礎届)」といい、
毎年6月上旬ごろに、日本年金機構から各事業所あてに届けられます。
届出用紙には、5月中旬頃までに加入した被保険者の氏名や生年月日などが印字されているので、内容に誤りがないか確認しましょう。
事業所は、この書類に必要事項を記載し、事業所を管轄する年金事務所、または年金事務所と健康保険組合に提出しなければなりません。
提出期限は、基本的に毎年7月1日〜7月10日までとなっています。
ただし、健康保険組合に加入している事業所の場合は、提出期限が異なるケースもありますので、事前に提出先に確認するようにしましょう。
提出方法としては、窓口への持参、郵送による届出、電子申請の3つがあります。

【対象となる従業員】
定時決定の対象となるのは、7月1日時点で社会保険に加入しているすべての従業員です。
休職中である場合や、70歳に到達して厚生年金保険の被保険者資格を喪失した従業員も対象です。
ただし、6月30日以前に退職した従業員や、6月1日以降に被保険者になった従業員については、定時決定の対象外となりますので、
算定基礎届の提出は不要です。

【算定基礎届をしないとどうなる】
事業者は定時決定を行うため、毎年7月上旬に算定基礎届を作成して、管轄の年金事務所に提出しなければなりません。
違反をした場合には健康保険法等に罰則規定が設けられていますが、実際に定時決定を出し忘れたという理由で、
罰則が適用されることはほとんどありません。
ただ、年金事務所から指摘された場合には、過去に遡って届出や訂正をしなくてはなりません。
その場合、手続きや計算が煩雑というだけでなく、従業員に対して追加の保険料徴収が必要になるなど、労使トラブルにつながる可能性もあります。
そうならないためにも、定時決定は必ずきちんと行うようにしましょう。

【労働保険年度更新】

2023-05-16

社労士の小泉です。
令和5年の申告期間が近づいてきました。

(申告期間)
令和5年度の年度更新期間は、令和5年6月1日(木)~7月10日(月)です。

(計算方法)
令和5年度労働保険の年度更新では、令和4年度の雇用保険率が年度途中で変更されたことに伴い、算出方法が適用事業の種類によって異なります。
「一元適用事業」及び「二元適用事業(雇用保険)」の場合は、保険料算定基礎額と保険料額を労災保険分と雇用保険分ごとに、
前期(令和4年4月1日~同年9月30日)と後期(令和4年10月1日~令和5年3月31日)に分けて算出します。

⇒具体的な手順
①「確定保険料一般拠出金算定基礎賃金集計表」に賃金の総額を記入し、前期・後期別に集計します。
②「確定保険料一般拠出金算定基礎賃金集計表」の下段に新規に設けた「令和4年度確定保険料算定内訳」欄を使用し、保険料算定基礎額と保険料額を前期・後期別に算出します。
①、②で算出した保険料算定基礎額と保険料額を、年度更新申告書の下段に新規に設けた「㉜期間別確定保険料算定内訳」欄及び申告書中段の「確定保険料算定内訳」欄に各々転記します。

通常の企業は、一元適用事業に当たります。令和4年度の確定保険料の算定方法が例年とは異なる手順となりますので、ご注意ください。

※「二元適用事業(労災保険)」の場合は、令和4年度の確定保険料の算定方法は例年と変更ありません。
また、一般拠出金及び特別加入保険料の算定方法についても例年とは変更ありません。

【補助金・助成金】

2023-05-09

社会保険労務士の小泉です。
今回は、補助金・助成金について記載致します。

(目的)
助成金と補助金は制度自体の目的にも違いがみられます。
助成金は、従業員の給与をアップさせたり、待遇を改善し人材を定着させたりなど、雇用の安定が目的です。
一方、補助金の目的は企業への投資です。特定産業の育成や地方創生のほか、新規事業の立ち上げや設備投資などを行う企業の支援など、
さまざまな目的で支給されます。

(成功のしやすさ)
助成金と補助金は受給のしやすさも異なります。助成金は、要件を満たしていれば原則受給することが可能です。
一方、補助金を受給するには、要件を満たした上で採択される必要があります。
申請した事業者の中からコンペ方式で採択される事業者が決まるため、人気がある補助金の場合、受給できる確率が下がってしまいます。
種類にもよりますが、補助金を受給できる確率は10~50%程度です。申請をしても受け取れない場合がある点は頭に入れておく必要があるでしょう。

(公募)
助成金と補助金は公募される時期も異なります。
助成金は通年で申請できるものが多いのに対し、補助金は年度明けから募集されるものが多くみられます。
とはいえこれは一般的な傾向です。
それぞれの制度によって異なる場合がありますので、申請する場合は事前にしっかりと確認しておく必要があります。

(受給の流れ)
助成金と補助金はいずれも、「助成金・補助金の支給要件に即した事業計画の申請」と「実行した事業の報告」という2段階の手続きが必要です。
助成金・補助金を受給するまでの具体的な流れは以下のとおりです。

  1. 受給したい助成金・補助金を見つける
  2. 支給要件に即した事業計画を申請する
  3. 【補助金の場合】採択される
  4. 事業計画を実行する
  5. 実行した事業の内容・経費などを報告する
  6. 助成金・補助金が支給される
    おおまかな流れは共通しているのですが、補助金の場合は受給までに「採択」という段階があり、この点で助成金と異なっています。

(代行)
助成金と補助金はどちらも自社で申請することが可能です。しかし自社で対応するのが難しく、外部に依頼したいと考えるケースもあるでしょう。
そのような場合に注意したいのが、助成金と補助金では申請できる人が異なるということです。
助成金の場合、社労士がすべての手続きを代行できます。書類の提出や労働局からの問い合わせなど、あらゆる手続きを一任することが可能です。
一方、補助金の場合は自社で申請する必要があります。中小企業診断士や行政書士、税理士など専門知識を有する人に依頼したくても、
申請を代行することは認められていません。認められているのは申請のサポートのみとなっていますので、注意しましょう。

(申請できる社労士が限られている)
助成金を積極的に提案・申請できる社労士は、社労士全体の10分の1程度ともいわれています。
理由のひとつに、助成金の申請代行はスポット的な業務だからということが挙げられます。
多くの社労士は給与計算や手続き業務、労務相談のような業務をメインとしているため、
スポット的に発生する助成金の申請に対して割ける人員・時間が限られ、提案をしたくてもできないというケースが想定されます。
加えて、助成金の申請代行は社労士にかなりの負担がかかります。
助成金の分野は非常に幅広く、提案・申請をするためには、その分野についての知識も求められます。
その上、制度の頻繁な変更にも対応しなければなりません。このような理由もあり、助成金の申請を積極的に代行している社労士は少ないのです。

【時間外労働に関する割増率】

2023-04-20

社労士の小泉です。

今回は時間外労働に関する割増率の法改正について記載致します。

(2023年4月より、中小企業も時間外労働の割増率が引き上げ)
現状、月60時間を超える時間外労働に50%以上の率で計算された割増賃金を支払う必要があるのは大企業だけで、中小企業においては適用猶予がなされています。
しかし、2023年4月からこの適用猶予が廃止されて、中小企業であっても月60時間を超える時間外労働に対して、50%以上の率で計算された割増賃金を支払わなければなりません。

(割増賃金率の引き上げタイミング)
1ヵ月の給与計算の起算日が1日でない場合の時間外労働時間の算出は、
法改正の施行日である2023年4月1日からの時間外労働時間を累計して算出します。
例えば、月々の給与計算における1ヵ月を”当月の21日~翌月の20日”としていた場合、
2023年4月1日から4月20日までの時間外労働が60時間を超えた部分について、割増賃金率50%以上が適用されます。

(時間外労働の計算例)
時給換算1,500円の従業員が、月80時間の時間外労働をした場合、2023年3月31日までと2023年4月1日以降の時間外手当がどのくらい違うのか計算してみましょう。

①改正前(2023年3月31日まで)
1,500円×1.25×80時間=150,000円
時間外手当 150,000円

②改正後(2023年4月1日以降)
(1,500円×1.25×60時間)+(1,500円×1.50×20時間)=157,500円
時間外手当 157,500円

上記のように、残業が多い従業員に対して計算が以前とは異なってきます。
知らなかった為、給与計算を間違えると知らず知らずのうちに未払い賃金が発生してしまいます。

【雇用調整助成金の不正受給】

2023-04-11

社労士の小泉です。
今回は、雇用調整助成金の不正受給について、厚労省が発表しました。
コロナの影響で雇用調整助成金を受給した会社は多々いるかと思います。

厚生労働省は、雇用調整助成金のコロナ特例を不正受給した企業などの公表基準を明らかにしました。
不正受給した額と、不正を理由に不支給となった申請額が合計100万円以上の企業は原則として公表対象とするが、
都道府県労働局の調査前に自主申告し、返還命令から1カ月以内に全額納付した場合には公表しない方針のようです。
自主的な申告を促し、不正受給の早期発見・是正につなげる狙い。
不正に関与した社会保険労務士については、金額や返還の有無にかかわらず、氏名などを公表する。

社労士自ら不正受給を後押しして、逮捕されるニュースがありました。

助成金は雇用保険料や公費で負担されています。
雇用調整助成金の他にも、キャリアップ助成金も多く利用されていますが、不正受給にならないよう注意が必要です。

厚労省管轄の助成金は社会保険労務士が代行可能となりますが、社労士が顧問先のリスクや要件を満たさないと判断した場合、無理に需給をするのは止めた方が良いでしょう。

【雇用調整助成金コロナ特例終了】

2023-03-27

社会保険労務士の小泉です。
今回は、雇用調整助成金のコロナ特例について記載致します。

厚生労働省は新型コロナウイルスの影響を受けた企業を対象とした雇用調整助成金の生産指標要件を緩和や計画届を不要などの特例措置(コロナ特例)を、
4月から通常の制度に戻す案を示しました。

4月1日以降の休業については、通常制度の雇用調整助成金の要件に戻ります。
・経済上の理由によって事業活動縮小を余儀なくされた事業主
・直近3カ月の売上高など生産指標が前年同期と比較して10%以上低下していること
・雇用保険の被保険者期間が6カ月に満たない労働者の休業は対象外
・計画届の事前に提出
・受給後に再び利用する際は、1年間のクーリング期間が必要

雇用調整助成金(コロナ特例)は多くの企業様が申請していたと思いますが、コロナ特例がいよいよ終了します。

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