就業規則で防げるトラブルとは

【トラブル事例】

1・従業員を解雇した後の賞与支払について、「在籍していた分の賞与を貰う権利はある!」と従業員から詰め寄られた。

⇒就業規則に「支給日に在籍していること」等の文言がなければ支給しなくてなりません。

記載がないが為に、トラブルへと発展しかねません。

2・無断欠勤で連絡の取れない従業員を解雇したが、数日後本人出勤し「解雇は労働基準法違反だ。明日から働かせてくれ!」と詰め寄ってきた。

⇒労働基準監督署長が解雇予告の除外認定をするためには「出勤の督促に応じないこと」がひとつの要件とされていますので、数日間出勤しないだけでは要件を満たしません。ですからこの従業員を再び働かせなくてはなりません。この場合解雇する為には、無断欠勤が続き、その間に出勤の督促をしてもそれに応じないことが要件とされるのですから、社員が行方不明になったときには、簡易裁判所に対して公示送達の方法をとらなくてはなりません。

しかしこの手続き、いろいろと面倒です。ではどうすれば良いか?

「連絡の取れない無断欠勤が一定期間(特定しておきます)続いた場合、その従業員は退職の意思表示をしたものとして扱う」とする文言を就業規則に定めれば良いのです。

3・従業員がガンのため欠勤しました。夫から『末期ガンなので職場復帰は無理だ』と申告がありました。しかし、本人の生きる望みもあるので『従業員の地位を残してほしい』と懇願され、詰め寄られトラブルとなる。

⇒本来の休職規定の意味は、ある一定期間労働の提供義務を労働者に免除して、その間に傷病を治癒させて復職をさせることが目的です。

また、最近は「がん治療」も入院せずに通院のみで対応してくれる病院も増えてきています。がんも不治の病ではなくなりつつある一方で、定年年齢が伸びてきて、現役でがんに罹るリスクが増えてきています。

こうした時代背景の中で、企業はがんに罹った社員の活用方法も考え直さなければならなくなってきていると言えるでしょう。

末期になり全く労働の提供が不可能となって、職場への復帰も完全に見込めない人までを社員としての地位を残すのか、就業規則などでしっかりと取り扱いを決めておきたいものです。

4・A社に勤めるAさんは育児休業中です。会社もこの不況下で休業せざるを得ない状況にありました。職場へ復帰するのもあと3カ月となったある日会社から一通の封書が届きました。

中には『この不況下で人員を削減しなければ経営困難になってしまっているので、一ヶ月後の5月31日を持って退職をしてください。』と書かれていました。

Aさんは育児休業中の者を解雇しては、いけないのではないかと監督署に問い合わせをしました。

⇒解雇制限されている人の条文

法第19条(解雇制限)使用者は業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する 期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間及び、その後30日間は、解雇してはならない。

但し、使用者が第81条の規定によって打ち切り補償を支払う場合または天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においてはこの限りでない。前条但し書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。

育児休業、介護休業等育児又は家族介護をおこなう労働者の福祉に関する法律 法第10条(不利益取り扱いの禁止)事業主は、労働者が育児休業の申し出をし、または育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇または不利益な取り扱いをしてはならない。

このように産前産後休業中とその後30日は解雇できません。そして育児休業中は育児休業を理由としての解雇はできないわけです。しかし、理由が会社の経営不振となれば解雇できなくはないということになります。

もちろんAさんについては会社が整理解雇の手順を踏んでの解雇なのかという問題もあります。

解雇を申し渡す段階で言葉の行き違いがあったりした結果、もしAさんが感情的になってしまい訴えを起こしてしまうと和解金や逸失利益等(本来育児休業中にまだ育児休業基本給付金も支給される)は、会社が支払う羽目になってしまい、もっと大きな出費となってしまうわけです。会社は法的なリスクを十分に考えトラブル防止の対応をすべきです。

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