Archive for the ‘コラム’ Category

【社会保険料月額変更について】

2022-12-06

社会保険労務士の小泉です。

今回は賃上げによる社会保険料の変更について記載致します。

(春闘による運賃値上げと社会保険料)
大手企業では賃上げをする会社もあります。
給与が変動すると社会保険の標準報酬月額が変更されることがあります。
昇給や諸手当の追加により給与が増えた時、標準報酬月額が上昇して社会保険料が増えます。
中には、本人が気付きにくいケースもあります。会社が交通費を見直したことにより、社会保険料が変化する場合等です。

(社会保険月額変更の随時改定とは)
社会保険料は、被保険者の給与等を基準とする標準報酬月額によって決まります。
標準報酬月額とは、従業員が会社から受け取る毎月の給料などの報酬の月額を区切りのよい幅で区分した「社会保険料」算定時の基準となる額のことです。
標準報酬の対象となる報酬は、基本給のほか、通勤手当も対象となります。
他にも、役付手当や勤務地手当、家族手当、住宅手当、年4回以上の支給される賞与、残業手当等、労働の対償として事業所から現金又は現物で支給されるものも算定の対象として含まれます。

(交通費変更について)
現在、テレワークが多くなっており交通費を支給しなくなる会社もあります。
この場合も、社会保険料の月額変更に該当する場合があります。

社労士へ毎月の給与計算を依頼していれば、月額変更に該当するか確認をしています。
自社で行っている場合、見落とす可能性もあります。
後になってまとめて差額を控除すると、従業員様から不満が上がってきます。

そのようなトラブルを回避する為にも、社労士との提携はメリットがあるかと思います。

【コロナワクチン接種の際に会社が検討すべき事】

2022-11-08

社労士の小泉です。
最近もコロナ感染者が多くなってきています。
ワクチン接種回数も多くなっている中、会社としての対応について記載していきます。

Q1:新型コロナワクチン接種の時間は労働時間として取り扱わないといけないのか・・・
⇒接種について、「会社から指示したかどうか」によって取り扱いが異なります。

①会社から指示したワクチン接種(職域接種等)の場合、労働時間と取り扱う必要があります。

②会社から指示していないワクチン接種の場合、労働時間と取り扱う義務はなく、会社判断になります。
※但し、会社から指示していないワクチン接種の時間を労働時間として取り扱う場合、接種出来なかった労働者から不満の声が出る可能性があります。

Q2:新型コロナワクチンを接種した従業員が「体調不良のため休みたい」と申し出があった場合どうすればいいか・・・
⇒有給の休暇は義務づけられていませんが、年次有給休暇または特別休暇の取得を認めることが望ましいです。

実際中小企業では、年次有給休暇の消化で対応している企業様が7割以上を占めます。
また、ワクチン接種後の副反応の有無に関わらず一律に特別休暇を付与し、ワクチン接種者を有利に取り扱うことで接種を推進している企業もあります。

〈まとめ〉
ワクチン接種時の対応は企業様でも必ず検討すべき内容です。
予めルールを明確にしておく事により不満やトラブル防止となるでしょう。

【副業について】

2022-11-02

社会保険労務士の小泉です。
今回は副業規定に関する事を記載致します。

「終身雇用制」から「柔軟にキャリアを選ぶ働き方」にシフトしていく中で、副業を容認・奨励する企業が増えていますが、
副業規程について多くの企業ではまだ整備が追いついていないケースも見られます。以下、副業規程を作成する際のポイントを紹介していきます。

(対象者)
副業・兼業に関する裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であるとされており、
全ての労働者について原則、副業・兼業を認める方向で検討することが適当でしょう。
ただし、契約形態により許可基準に差を設けることは必ずしも不合理とは言えません。
例えば部分的に働くことを前提としている パート・アルバイトについては副業を広く認めた方が良い一方で、
基幹業務を担う正社員に対しては副業に厳しく制限をかけるなどといった違いはあって良いでしょう。

(許可基準)
会社が申請を受けた副業について許可するか否かの判断基準を検討します。
判断基準としては次のようなものが挙げられますが、重要なのは「勤務時間外の行動まで会社が制限すべき事情があるか」という視点でしょう。

業種、仕事の内容:その副業が会社の信用を落とすものでないか/職業上不適切でないか
(例:教育者が風俗産業で副業をする場合など)

労働時間:合計労働時間が法律上の限度時間を超えないか/疲労の蓄積が懸念されるものでないか
(例:副業が毎日深夜に及ぶ場合など)

秘密保持・競業:副業により会社の知的財産が脅かされるなど、情報漏洩の危険性はないか
(例:研究開発業務の従事者など)

その他:副業により期待される相乗効果は何か/会社の担当業務に支障がでないか

(所得税申告について)
副業により得た所得は労働者本人が申告しなければなりません。
副業の所得申告漏れが起こらないように注意しましょう。
税理士へ依頼する方が漏れなく申告が行えるかと思います。

(禁止事項とトラブルへの対応)
副業・兼業にまつわる禁止事項や、問題が起きたときの懲戒処分などについて検討します。
例えば無許可で副業していた場合や、疲労により労災事故が起きた場合、情報漏洩事件が起きた場合などは許可を取り消す、
更には損害賠償請求などにもつながるように周知しておきましょう。

現在、多様な働き方が多くなっております。
会社を守る為に、社会保険労務士との契約をする事も検討が必要になるかと思います。

【令和4年 雇用保険料率変更について】

2022-10-25

社会保険労務士の小泉です。

今回は令和4年度、雇用保険料率について記載致します。
今年は年2回の料率変更があります。

令和4年10月分からは以下の料率へ変更となります。
(一般の事業) 
会社負担 8.5/1,000
労働者負担 5/1,000

(農林水産・清酒製造の事業)
会社負担 9.5/1,000
労働者負担 6/1,000

(建設の事業)
会社負担 10.5/1,000
労働者負担 6/1,000

給与計算の際は、締め日・支給日により、労働者からの保険料率が変わりますので注意が必要です。

(例1)当月締当月支払いの場合

締日:10月20日 支払日:10月31日

→賃金締日が10月1日以降なので、10月31日支払給与より、新しい雇用保険料率で計算

(例2)末日締翌月支払いの場合

締日:9月30日 支払日:10月25日

→賃金締日が9月中なので、10月25日支払の給与は従前の雇用保険料率で計算し、11月25日支払給与より、新しい雇用保険料率で計算

給与計算を適正に行う為、社会保険労務士等へ依頼する会社様が多くなっています。
弊所では、従業員数や会社の状況により、見積もりを作成しております。

ご検討されておられましたら、1度ご相談下さい。

【未払い残業時効延長のリスク】

2022-10-17

社会保険労務士の小泉です。
今回は未払い残業に関する時効延長について記載致します。

まず、民法では様々な債権の消滅時効期間を定めていますが、労働者にとって重要な債権である「賃金」の消滅時効期間は、労働基準法で定められています。
同法では「月又はこれより短い時期によって定めた使用人の給料に係る債権=いわゆる毎月の賃金」は1年で消滅すると定められていましたが、
それだと労働者の保護に欠けることから、賃金債権については労働基準法によって2年の消滅時効期間が定められていました。

(改正の内容)
2020年4月の改正民法施行と同時に上記の労働基準法も改正され、賃金の消滅時効期間が原則5年になりました。
ただし、当分の間は経過措置として3年とされました。

・改正点
 ① 賃金請求権の消滅時効期間が2年から5年に延長(ただし、当分の間3年)
 ② 2020年4月1日以降に支払われるすべての賃金が新たな消滅時効期間の対象となる
 ③ 賃金台帳など記録の保存期間も5年(当分の間3年)に延長

(影響)
例えば月末締め翌月10日払いの会社の「2020年4月分」の賃金にかかる時効は2023年5月10日に完成しますが、
これは法改正前であれば「すでに会社側が時効消滅を主張できていた賃金」になります。
つまり、2022年4月以降の未払い残業代請求事件は徐々に請求対象月が拡大し、来年度以降は3年分の請求をされる可能性があります。

(時効の完成猶予)
その他2020年の民法改正により、差押えや訴訟など、裁判所の手続きのほかに、当事者間で協議を行う旨の合意が書面でされた場合も、
原則として1年間ずつ(最大5年)時効の完成を猶予することができます。
つまり、時効が延びただけでなく今までよりも簡単に時効完成を阻止できるようになった点でも労働者側を考慮した改正と言えます。
よりリスク管理の重要性が高まっています。

毎月の給与計算を正確に行っていれば、未払い賃金の発生を防げるのしっかりと管理する必要があります。
自社での給与計算が負担に感じている場合、外部へ委託することも最善策だと考えます。

【長時間労働について】

2022-10-11

社会保険労務士の小泉です。
今回は長時間労働に関する事を記載させて頂きます。

【過労死等の定義】
過労死とは、過度な長時間労働や残業・業務における過重な負荷による脳・心臓疾患や、業務における強い精神的負荷による精神障害を原因とする、
急激な体調悪化に伴う突然死やこれらの疾患のことです。
過労死等防止対策推進法第2条では、下記が過労死の定義として定められています。

・業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡
・業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
・死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害
過労死等防止対策推進法第二条
この法律において「過労死等」とは、業務における過重な負荷による脳血管疾患 若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又は
これらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害をいう。
長時間および過重労働によって引き起こされる脳や心臓の疾患に基づくものと、過労やハラスメントなどによって精神疾患を発症するものの2つに大きく分類されています。

【4つの改正ポイント】
①長期間の過重業務で、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することを明確化
【改正前】
発症前1か月に約100時間/発症前2か月間〜6か月間にわたって、1か月あたり80時間を超える時間外労働が認められる場合、過労死の可能性が強いと評価できると示していました。

【改正後】
上記に満たない場合も、これに近い時間外労働を行った場合は、「労働時間以外の負荷要因」を考慮し、業務との関係が強いと評価・労災認定できるようになりました。

②長期間の過重業務、短期間の過重業務の労働時間以外の負荷要因の見直し
下記の項目が新しく追加されました。

・休日のない連続勤務
・勤務間インターバルが短い勤務(終業から次の勤務の始業まで)
・事業場外における移動を伴う業務
・心理的負荷を伴う業務 ※内容の拡充
・身体的負荷を伴う業務

③業務と発症との関連性が強いと判断できる場合を明確化
業務と発症との関連性が強いと判断できる場合として、明確化しました。

④対象疾病に「重篤な心不全」を追加
【改正前】
不整脈が一義的な原因となった心不全症状等は、対象疾病の「心停止(心臓性突然死を含む)」に含めて取り扱っていました。

【改正後】
心不全は心停止とは異なる病態のため、新たな対象疾病として「重篤な心不全」を追加しました。「重篤な心不全」には、不整脈によるものも含みます。

【過労死に伴う企業責任と防止対策】
従業員が過労死した場合、労働基準法や安全配慮義務の違反で、刑事責任や民事責任を追究されて、裁判で多額の損害賠償を請求される可能性があります。役員などが個人の責任を取らされるケースも少なくありません。
また、過労死がおこる業務環境で労働をしている”ブラック企業”として、世間からのイメージも非常に悪くなってしまいます。
そんな過労死を防ぐために、厚生労働省の「過労死等防止に関する特設サイト」では、以下の6点を「企業でできる取り組み」として挙げています。

1)長時間労働の削減
従業員の労働時間を正確に把握し、時間外・休日労働協定(36協定)の内容を労働者に周知しましょう。また、週労働時間が60時間以上の労働者をなくすよう努めましょう。

2)職場におけるメンタルヘルス対策の推進
会社はメンタルヘルス対策を積極的に推進しましょう。厚生労働省が出している、無料で使用できるツールもあるので、労働環境の把握・整備に使用してもいいかもしれません。

3)過重労働による健康障害の防止
会社は労働者の健康づくりに向け積極的に支援することが必要です。 健康相談の体制整備や健康診断の実施・健康診断で異常があった従業員については、必要な措置について医師の意見を聴き、必要な事後措置を講じなければなりません。

4)職場のハラスメントの予防・解決
会社は、予防から再発防止に至るまでの一連の防止対策に取り組み、職場のハラスメントを防止しなければなりません。社内外に相談窓口の設置や、「ハラスメントをしない・させない」という企業の方針を今一度従業員に周知する必要があります。

5)働き方の見直し
会社はワーク・ライフ・バランスのとれた働き方ができる職場環境づくりを推進しましょう。従業員のワーク・ライフ・バランスへ気を配ることで、生産性の向上や良い人材が入社を希望するなど、企業側にも様々なメリットがあります。 会社と従業員で話し合って計画的な年次有給休暇の取得などに取り組みましょう。

6)相談体制の整備等
会社は労働者が自身の不調に気がついたら、すぐに専門家に相談できるよう相談な環境づくりを行う必要があります。社内外の相談窓口や、産業保健スタッフに相談ができる環境を整え、過労死等を未然に防止するよう努めましょう。明らかに様子のおかしいスタッフには、同僚・上司から相談にいくよう促すなど、従業員全体で健康管理を行うことが大切です。

よって、従業員が過労死した場合、企業イメージの悪化や損害賠償請求など、非常に大きな影響を与えてしまいます。
未然に防ぐことのできるように、日頃から労務管理をしっかり行いましょう。

【労働基準監督署の調査について】

2022-10-03

社会保険労務士の小泉です。
今回は、労働基準監督署の調査について記載致します。

(調査の種類)
①定期監査
②申告監査
③災害時監督
④再監督

(定期監査について)
こちらは、無作為に調査対象の事業所を選別します。
その隔離は首都圏(東京や大阪)の場合、0.01%と確率は低いものとなります。
だからと言って、未払い賃金や各種届出を怠っても良い事ではありません。
会社経営を行うのであれば、適正に行う必要があります。

(申告監査について)
申告監督は労働関係諸法令が守られておらず、労働者が労働基準監督署に相談された場合に行われる調査のため、
ご相談頂く多くのケースはこの申告監督です。
会社と従業員との間で、良好な関係を築く事も必要ですね。。。

(調査のリスク)
・未払い賃金や退職金等の支払い命令
・健康診断の実施命令(実施費用は会社負担)
・罰金の支払い(30万円以下~300万円以下)
・社会的な制裁としての企業名公表

上記の他にも是正報告書の提出等が求められることもあります。
一度調査が入ってしまうと金銭的なリスクだけでなく、相当な時間捻出が必要になることも少なくありません。

(総括)
働き方改革関連法案が進み、ネットで検索すれば簡単に情報を知れる状況であることからも、益々法律の遵守が求められます。
調査が入ってからの対応では、思わぬ支出や時間を費やすことになります。

調査が入っても問題がないよう、事前に整備を進めていきましょう。

現在では、弁護士や税理士だけではなく、社労士と顧問契約をし毎月の給与計算や各種届出を依頼される会社様も多くなっています。
事前に未払い賃金の防止等を行う事により、会社が守られると思います。

検討されていれば、1度ご相談下さい。
従業員数等を考慮しお見積りを致します。

【社会保険労務士への委託によるメリット】

2022-09-27

社労士の小泉です。

今回は社会保険労務士へ委託する際のメリットを大きく分けて2つご紹介します。

①具体的にどんな役割を果たしているのか。
一般的に、社会保険労務士の役割とはどんなものだと認識されているのでしょう。
会社の土台を担う極めて重要でありながら、決してミスが許されないのが労務管理業務です。
しかも、各社の労務管理は社外秘扱いであるため外部との情報交換も非常に困難なことが、改善や対策を妨げる大きな問題の一つ。
そんな労務管理業務担当者へのアドバイザー的役割を果たすのが社会保険労務士です。
労務関係で何らかのトラブルが発生した場合、解決のために依頼する。一般的に社会保険労務士は、保険のような役割であることが多いのです。

②「何かあったら」で本当にいいのか。
もちろん、発生してしまったトラブルへの対応は極めて重要、そこで社会保険労務士が果たす役割も大きい。
しかし、最も理想的な形は発生したトラブルに対応することではなく、未然にトラブルを防ぐことではないでしょうか。
「何かあったら社会保険労務士の先生に頼ればいい」それで解決すれば問題はないのかもしれません。
ただ、トラブルの中には発生してからではすでに手遅れという重大なものもあります。
医療に例えると、今や2人に1人は癌を発症すると言われますが早期発見すればほとんどの癌は完治します。
つまり、労務管理もトラブルを早期発見しなければならないのです。では、労務管理のトラブルをどのように早期発見し未然に防ぐことが出来るのか。

それには、以下の2つが重要になってきます。

①会社が抱える労務管理の課題を明確にする
②明確になった課題の改善策を検討、実践する

いわば、労務管理の健康診断ともいえる未然防止対策が重要になってくるのです。

他にも、せっかく社員の雇用をするのであれば、要件を満たす場合、様々な助成金の受給が可能となる場合があります。
厚生労働省管轄であれば、社労士にて代行が可能です。

また、給与計算を自社で行っている場合、保険料率改定時期や昇給降給等による手続きが生じます。
年1回の届出もあります。

社労士へ委託する事により、適法な手続きを一括して依頼する事も可能となります。

1度ご相談頂けたらと思います。

【能力不足により社員について】

2022-09-12

社会保険労務士の小泉です。
今回は能力不足による社員への対応について記載します。

能力が著しく低い、ローパフォーマー社員への対応は多くの会社が頭を悩ませる要因の一つです。
しかし、能力不足だけを理由にした解雇は不可能ではありませんが、非常に困難です。

労働契約法第16条は、「解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」については無効であると定めています。
判例によると能力不足を理由に解雇ができる条件は下記の通りです。

①能力不足の程度が客観的に見て雇用関係を維持するのが難しいほどである
②具体的な指導や教育を相当期間行っても改善しなかった
③配置転換も含めて解雇を回避する方法がなかった

裁判では事業主による一方的な解雇を厳しく制限しており、裁判で解雇が無効となった場合はその間の賃金補償や損害賠償など多額の費用が発生します。
そこで、解雇以外の解決方法を考える又は解雇となった場合でも、解雇が有効となるよう事前にしっかりと準備する必要があります。

能力不足により解雇する場合、ステップとして以下の手順を取るのが良いかと思います。
※あくまで、一例です。

【①適切な目標設定と指導により本人の能力向上を促す】
業務の目標設定は会社が一方的に設定したものではなく、実現可能な程度のものであることはもちろんのこと本人の意見も聴取反映し、
本人の同意を書面で証拠として残しておきましょう。

【②教育指導した日付・内容・結果を書面で記録する】
口頭での注意だけでは、回数や内容を証明することができません。
必ず指導内容の記録を「書面」にて残すことが必要です。
指導の際はパワハラと受け取られるような本人の人格を否定する言動はもちろん、高圧的な態度を取らないように冷静に対応してください。
教育指導は1回のみではなく相当期間・回数行った事実が必要です。

【③本人の判断により退職を促す「退職勧奨」を行う】
本人の能力と会社の求める能力に乖離があり改善が望めない場合、本人と合意の上で自主的に退職してもらい、新天地で活躍した方が本人のためであることもあります。
話し合いの際には、「退職勧奨を受け入れなければ解雇になる」という脅迫や強要と受け取られる伝え方をしては解雇とみなされるため、注意が必要です。
本人が退職勧奨を受け入れた場合は、口頭での返事ではなく必ず「退職合意書」を会社側で作成し、書面で提出してもらった方が良いでしょう。

上記のように、能力不足による解雇は、しっかり準備をし指導を行う事が必要となります。
また、必ず指導内容等を書面にて署名捺印をもらいましょう。

【入社時に行って事】

2022-09-06

社会保険労務士の小泉です。

今回は入社時に必要な説明やトラブル防止について記載致します。

【労働条件や会社のルールをきちんと説明しておく】
労働基準法で、「会社は採用した人に対して労働条件を書面で明示しなければならない」と明記されています。

実際には労働条件通知書や就業規則を単に渡しただけでは、従業員の十分な理解を得ることは難しいです。
その為、従業員に対して労働条件・会社のルールをきちんと説明することが必要です。
入社時の資料などを作成し、これから働く会社でのルールを一人ひとりに認識させましょう。

【健康状態をきちんと確かめる】
従業員の健康状態に問題があることが後から発覚した場合、配属先の仕事が満足にできないなどのトラブルが発生する可能性があります。
健康そうに見えても、精神面に不調を抱えているケースも少なくありません。
精神的な面は中々察する事は難しいです・・・
業務に支障のない健康状態であることを確認することは、決して違法ではないので、入社時点で確認するのが良いでしょう。

また、労働安全衛生規則第43条で、入社時の健康診断が義務付けられているので、こちらも必ず行うようにしましょう。

【雇用契約書は必ず紙面で締結する】
法的には雇用契約書の書面作成は義務付けていません。
似た内容の「労働条件通知書」を渡すのであれば、雇用契約書はいらないと考える方も少なくありません。
しかし労働条件通知書が一方的に会社から従業員へ配布する書類となり、「契約内容と違う・話が違う」などと従業員に主張されてしまった場合、トラブルへ発展しかねません。
雇用契約書は、従業員との合意の上で署名・捺印を交わす為、労働条件などで「言った」「言っていない」を防ぐために、雇用契約書は紙面で結んでおくことが安心です。

【原則採用時に提示した労働条件と同一の労働条件を適用する】
求人募集時に明示した労働条件に変更があった場合には、可能な限り速やかに変更した箇所を示して労働条件を明示しなければなりません。
求人を出した段階で労働契約が成立するわけではありませんが、給与や労働条件の変更は合理的な理由がある場合に限って許されます。
労働条件通知書または労働契約書で労働条件を明示し、必ず従業員の合意を得て、労働契約書を締結しておく必要があります。

【経歴詐称・個人情報漏洩などの誓約書の記入を求める】
経歴詐称や個人情報の漏洩など、従業員の行いによって会社側が不利益を被ったり、トラブルに巻き込まれてしまった場合、懲戒解雇などの処分を下すことになるかと思います。
たとえ従業員に不手際があったと場合、不用意に解雇をしてしまうと従業員から不当解雇として訴えられてしまうケースがあります。
上記のようなトラブルや被害を起こさないことや、秘密保持のためにも、個人情報漏洩や競合への転職、SNSなどの利用について制限を設けるための誓約書を、
入社時に従業員との間で取り交わすことも考えた方が安心でしょう。

トラブルへと発展した場合、弁護士を入れ対応したり、対応に時間を割くことが多々あります。
入社時や退職時にトラブルとならないような対応を予め行うのが、宜しいかと考えます。

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