社会保険労務士の小泉です。
今回は、補助金・助成金について記載致します。
(目的)
助成金と補助金は制度自体の目的にも違いがみられます。
助成金は、従業員の給与をアップさせたり、待遇を改善し人材を定着させたりなど、雇用の安定が目的です。
一方、補助金の目的は企業への投資です。特定産業の育成や地方創生のほか、新規事業の立ち上げや設備投資などを行う企業の支援など、
さまざまな目的で支給されます。
(成功のしやすさ)
助成金と補助金は受給のしやすさも異なります。助成金は、要件を満たしていれば原則受給することが可能です。
一方、補助金を受給するには、要件を満たした上で採択される必要があります。
申請した事業者の中からコンペ方式で採択される事業者が決まるため、人気がある補助金の場合、受給できる確率が下がってしまいます。
種類にもよりますが、補助金を受給できる確率は10~50%程度です。申請をしても受け取れない場合がある点は頭に入れておく必要があるでしょう。
(公募)
助成金と補助金は公募される時期も異なります。
助成金は通年で申請できるものが多いのに対し、補助金は年度明けから募集されるものが多くみられます。
とはいえこれは一般的な傾向です。
それぞれの制度によって異なる場合がありますので、申請する場合は事前にしっかりと確認しておく必要があります。
(受給の流れ)
助成金と補助金はいずれも、「助成金・補助金の支給要件に即した事業計画の申請」と「実行した事業の報告」という2段階の手続きが必要です。
助成金・補助金を受給するまでの具体的な流れは以下のとおりです。
- 受給したい助成金・補助金を見つける
- 支給要件に即した事業計画を申請する
- 【補助金の場合】採択される
- 事業計画を実行する
- 実行した事業の内容・経費などを報告する
- 助成金・補助金が支給される
おおまかな流れは共通しているのですが、補助金の場合は受給までに「採択」という段階があり、この点で助成金と異なっています。
(代行)
助成金と補助金はどちらも自社で申請することが可能です。しかし自社で対応するのが難しく、外部に依頼したいと考えるケースもあるでしょう。
そのような場合に注意したいのが、助成金と補助金では申請できる人が異なるということです。
助成金の場合、社労士がすべての手続きを代行できます。書類の提出や労働局からの問い合わせなど、あらゆる手続きを一任することが可能です。
一方、補助金の場合は自社で申請する必要があります。中小企業診断士や行政書士、税理士など専門知識を有する人に依頼したくても、
申請を代行することは認められていません。認められているのは申請のサポートのみとなっていますので、注意しましょう。
(申請できる社労士が限られている)
助成金を積極的に提案・申請できる社労士は、社労士全体の10分の1程度ともいわれています。
理由のひとつに、助成金の申請代行はスポット的な業務だからということが挙げられます。
多くの社労士は給与計算や手続き業務、労務相談のような業務をメインとしているため、
スポット的に発生する助成金の申請に対して割ける人員・時間が限られ、提案をしたくてもできないというケースが想定されます。
加えて、助成金の申請代行は社労士にかなりの負担がかかります。
助成金の分野は非常に幅広く、提案・申請をするためには、その分野についての知識も求められます。
その上、制度の頻繁な変更にも対応しなければなりません。このような理由もあり、助成金の申請を積極的に代行している社労士は少ないのです。