社労士の小泉です。
コロナ以降副業をしている従業員も多くなっています。
そこで、副業をしている方の労働時間管理につて記載致します。
近年の働き方改革の中で、柔軟な働き方の一つとして副業・兼業容認の流れがあります。
今までの「一度入社したら定年まで勤めること」を是とした日本的終身雇用制から考えると大きな転換となりますが、
時代変化に合わせて今後副業や兼業を容認する流れはさらに加速していくことが見込まれます。
一方で、労働基準法その他の労働関係各法は本来副業・兼業を前提として設計されていないため、
既存の法律を当てはめようとするとどうしても不都合が生じます。
(労働時間の通算)
労働基準法第38条第1項では、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と規定されています。
つまり、自社の労働時間と副業による労働時間を通算した上で、法定労働時間と割増賃金を考えなければなりません。
では、どちらが割増賃金を負担するのか。
法定労働時間を超える労働をした部分については25%以上の割増賃金を支払う義務がありますが、
副業により労働時間を通算した場合、「どちらの会社が割増賃金を負担するか」という問題が発生します。
〈所定労働時間の通算ルール〉
①まず、それぞれの会社の「所定労働時間」については、原則として「労働契約を後から結んだ方の会社が割増賃金を支払う」
というルールに則ることになります。
(例)
事業者A 2021年契約 8時間労働
事業者B 2022年契約 2時間労働
※事業者Bが割増賃金負担
②一方で、所定外労働時間(つまり各社における所定労働時間を超えて働いた分)については、1日のうちで所定外労働時間が行われる順に通算するというルールになります。
例えば事業場A、Bとも所定労働時間が3時間のパート勤務で、それぞれ2時間残業した場合、左記の図の通りAが割増賃金を負担することになります。
(例)
事業者B 2022年契約 所定3時間 残業2時間(9時~14時まで就業) 合計5時間
事務者A 2021年契約 所定3時間 残業2時間(15時~20時まで就業) 合計5時間
※事業者Aが割増賃金負担
中々実務では難しい事もありますので、専門家に相談するのが最善かと考えます。